少し(といっても、2週間ほど...)前に、東京で CSS Nite LP45「ライティング・スキル強化デー」 というセミナーイベントに参加してきました。 期間が空いてしまったのですが、その所感をまとめてみます。
日々の仕事の中で文章を書くシーンの多さ
私自身、Webサイトを作ることを生業としているのですが、仕事の中で、文章を書いて相手に意図を説明するというシーンはとても多く、粒度も細かいと感じています。
まず、Webサイトを作っていく上で必要な文章は、大きく分類すると、Webサイト上に掲載される文章と、それ以外の文章があります。
Webサイト上に掲載される文章
- サイト全体のキャッチコピー
- ページのタイトル
- ページのキャッチコピー
- 文章の見出し
- 文章本文
- 写真のキャプション
- 写真の著作表記
- 画像内にふくめる文字
- 画像に含めない文字
Webサイトに掲載されない、それ以外の文章
- クライアント(依頼主)とのやり取り時の文章(主にメール)
- デザインの意図を説明する文章
- サイトマップや設計書を説明する文章
- 制作スタッフに指示をするときの文章
- 仕様書や要件定義書に用いる文章
- HTMLのコメント
とまあ、挙げればキリがないのですが、どれにも共通して当てはまることは、読んでもらう相手に、素早く正確に、かつ印象的に理解してもえるように工夫することが大切だということです。これがとても難しくて、奥深い。この奥深さは、文章のライティングだけでなく、デザインにも共通する点があると思っています。
話を戻しますが、文章を書くときに気をつけなければならないことを、自分なりに3つほど、整理しました。
1.読み手の感情に合わせる
例えばキャッチボールでは、ボールを受け取った自分が、次に相手に投げ返すときに「さて、どのコースだったら相手はキャッチしやすいかな?」と考えると思います。言い換えると「情報をどのように投げたら、気持ちよくキャッチしてもらえるか」ということなんですが、これをある程度考えられるようになれさえすれば、あとはそれを考慮に入れて文章を組み立てることに注力すればいいと思っています。
組み立てるのが難しいと感じる場合もありますが、相手が欲しい情報を強調したり、邪魔になる修飾語を取り除いたり、客観的になって読み返してみると、余計なものがヘドロのように付着していることがあります。余計なものをキレイにするには、一旦頭を切り替える必要があり、客観的に自分の文章を見直すには、すこし時間を置いた方がいいです。CSS Niteの千貫 りこさんのセッションでは「塩抜き」というキーワードで語られていて、この「余計なもの削ぎ落とす」ことこそが、文章を洗練させます。
2.余計なものを削ぎ落とす
文章が出来上がった後、私が必ずやることは「この文章で要らない言葉はあるか?」ということをジャッジすることです。私自身、とくに語彙が豊富ではないので、伝えたいことを真っ正直に伝えようとしたら、無駄に言葉が多くなったり、単調な言葉遣いになりがちです。伝わりやすいように工夫したことが、実は逆効果で、余計なものがへばりついた文章が出来上がってしまいます。そのへん、スマートに変えなければなりません。
3.文字の隠された役割を利用する
隠された、というと大げさですが、「文字」は、言葉の意味以上に多様な解釈を私たちに与えてくれます。 同じ読みであっても、意図を正しく伝えるときは、それを漢字にするか平仮名にする(開く)か、カタカナにするか英数字を用いるか、しっかり選択をしなければならないです。
例えば、 「あなたが今日食べたいのは、寿司、すし、スシ、SUSHI、どれですか?」 という質問を文章で書き起こすと、「すし」は「すし」でも、どのような「すし」を希望しているか、というニュアンスに変わると思います。
日本語は、バリエーションに富んでいるので、楽しいですし、思いやりをもつことで、質問したい本当のことを、どの文字を使用するかで選べる環境にあると言えます。
KDDIの高幡さんのセッションでは、見出しキャッチを考えるときに、まずは名詞を抽出するという手法を解説されていました。基本になる名詞から、表現を変えて、さらに限定的に成形していくと、より尖ったキャッチができるという仕組みです。とても腑に落ちる部分が多く、スッと内容が入ってきました。
剣豪で有名な宮本武蔵も、環境によって、槍や鉄砲など武器を変えて戦っていたそうです。(最近テレビで流し見したことなので、間違ってたらすみません。)攻撃する場所や時間、相手の装備によって、武器を正しく選択することは、文章を書くときに正しい言葉を選択することと、似ています。理解しやすい文章を書けるように、日々目と耳を凝らしておくことが重要だなと、これがわたしがセッション全体を通じて感じたことです。
懇親会にて
本編終了後の懇親会では、思いがけず、素晴らしい出会いがたくさんありました!本を書くときのアレコレや、デザインのこと、フラットな場で著名な方々と語り合えうことができました。最高のひとときです。
(撮影:飯田昌之)